samsonCO2のユーチューブ動画でかなり雑音が目立ち実用は厳しいと感じたので、数を揃えるに当たり、ノイズ比較をメモ。出典は各社メーカー及び各社代理店サイト。
手持ちのRODE NT3は17dB。C02は5dB違うので1.5倍。20dB超えのマイクはいくら安くても厳しい印象。無論、楽器やボーカルにオンマイクで使う分にはノイズは暗騒音に埋もれて気にならないが、アンビエンスや環境音の生録等オフマイクで使うとなるといくらでもノイズは低いに越したことはない。しかも屋外使用となると安く軽く小さいほうがいい。(感電注意)
4.5dB RODE NT1(2014)
5dB RODE NT1A
6dB AKG C414, RODE NT1000
7dB RODE NT2a, NT2000, Neumann TLM103
8.5dB MXL V87
9dB SE X1 S
11dB MXL 2003A, Neumann TLM67(単一指向時), Blue Baby Bottle SL(10.8dB)
12dB Neumann U87Ai(単一指向時), AT4040, Neumann TLM102, TLM49
13dB Behringer B-1, NEUMANN KM184, AKG C214, SE8
14dB Schoeps MK5, CMC65, AUDIX SCX1
15dB RODE NT55
16dB RODE NT5, NT4, MXL CR20, Neumann U87Ai(無指向時), SE4400a(無指向/単一指向), Behringer B-5(単一指向)
17dB RODE NT3, MARANTZ MPM-1000, MXL606, Behringer B-2(単一指向時), RODE NT1(2000), Neumann TLM67(双指向時)
18dB MXL CR21, SE RN17, AKG C451B, Behringer B-5(無指向)
19dB RODE M5, AKG P120, P170, LCT240Pro, Behringer C-2
20dB MXL V67G, MXL440, MXL990
21dB RODE M3
22dB SAMSON C02, MXL9000
24dB SONY C38B
28dB SE X1 D
注意点:ノイズの値には主にCCIR, A-weightedの二通りの記載があり、後者は2000Hz付近の音をピークに大きく感じる人間の聴覚の特性を加味して評価したものです。U87でもそれぞれ23dB, 12dBと値が大きく異なります。
(上の表ではA-weightedの値を抜粋しました。)
高音のギラギラが好みに合うならRodeのNTシリーズ、中域の押出感が欲しければBlue Baby Bottleなど。
Rode Nt3をバイオリンに向けると、パガニーニなど高音ギラギラの曲は結構はまるが、バッハなどはアラばかり録る感じになる。
MXL440, NT1(2014)は黒く、しかも大掛かりなショックマウントではない、ハードマウントのマイクホルダーがある。使い慣れてくると黒く小さく目立たないものが良いと強く思うようになり、重要な選択肢。
初めての一本ではインテリア的に銀色を好むものもいるが、純粋に音を録る、ミュージックビデオを作る、というときには、画面の外へ追いやれない場合、つや消しシルバーは結構気になる。オーケストラなどでも昔の映像を見るとノイマンの定番が並べてあったりするが、近年はSchoepsの超小型マイクスタンド一体型の灰色マイクなど、なるべく小さく暗色のマイクにだんだん切り替わっている傾向がある。
ケーブルもそうで、銀色が結構目障り。
そこで自分でハンダ付けということになるが、無鉛Rohs対応銀入り高導電のハンダは融点が高いのでハンダゴテもワット数の高いものにしないと厳しい。
「RODEは高域が持ち上げられている」ということがよく言われるが、周波数特性グラフを見れば周波数の山の位置の違いはあれ、NeumannであれAKGであれ高域は補強されている。
f特高域の音像を明瞭化する山はAKG C414,RODE NT1A, Behringer B1などは14kHz付近であるのに対し、Neumann u87Ai, MXL CR21, RODE NT1(2014)では9000Hz中心の大きな山で可聴域上端ではかなりカットされる形。
MXL2006は約1万円でありながら直径32mmのラージダイアフラムであるもののF特に20dB以上の大きな起伏がある。(しかしノイマンの定番と同様のハイ上がりの山にローカットが足されたような形状の特性のためか「煌やか」といった好印象の感想がレビューには目立つ。)
製造工程動画、あるいは内部を開けてみた時(感電注意)RODE社が最も洗練されているというか無駄がない印象があるのに対し、MXLなどはネット上で分解画像を見る限り、どうも素人感、手作り感が拭えない。そのあたりがRODE独自の保証期間10年といった差を生んでいるのだろう。しかし、あくまで音を録る道具として割りきって、音質で選べばよい。どの道当たり外れはある。仮に半額で同等性能製品があるなら、同じ予算で予備を確保しておくほうがよほどいい。
NT3について
9V電池駆動でファンタム電源なしに民生のPCM録音機ICレコーダーで録音可能ということで以前購入しましたが、重く、乾電池購入も億劫で、とても持ち運ぶ気にはならず、家の敷地を出たことがありません。結局マイクプリアンプを購入して乾電池は全く使っていません。ノイズやや大きめ高音が耳につく重たいマイクとして使っている現状です。マイクの下半分以上がただの電池入れで、マイク自体は半分とか10分の1とかの重量でも実現できる内容でしかありません。屋外ではフィールドレコーダー等ファンタム電源付きの装置を考えるとして、マイクは簡素なものがいいと思うようになりました。ベリンガーUSBオーディオインターフェイスでもセットで買って、はじめからファンタム電源使用で行くのが一番コストパフォーマンスがよいでしょう。
またf特グラフが割合直線的なのにどうしてこんなに耳に刺さるかなと、買った直後は思いました。しかし、よく見るとひと目盛り2dBで、低域は4dB下がっている。またNeumannU87Ai,MXLCR21などでは持ち上がっている9000Hz付近が、NT3では逆に4kHz,14kHzのふたコブの合間、7000Hzを中心とした小さな谷になっている。(C414も同様のふたコブ形状だが、下の山は6.5kHz付近で、山の谷間もマイナスにはなっていない。RODEの他のモデルとも異なり、独特のf特グラフだ。)
某国内大手販売店サイト等も参考にしましたが、おかしな数字が気になってメーカーのPDFダウンロードするとやっぱり違っていたということもありました。少なくとも十年以上使い続ける安くない買い物です。メーカーの英文のPDFをダウンロードして確認するのは必須です。
加齢による耳の周波数特性変化も馬鹿になりません。最近耳に刺さりません。「煌やか」に感じます。10代にしか聴こえない音が十代にどう聴こえ、どう届くか、というのも検討が必要ですね。その点ノイマンの定番は20kHz手前でストンと感度が落ちているのでモスキート音があまり記録されないと思われる。つまり若い人の耳に刺さらない。超高域の聴こえないジジババが作りこんだ音楽でも若者の耳に同様に届く。しかしそれが良いとも思わない。(RODEもNT1000などはU87ほどではないが、20kHz手前で-7dBほどストンと落ちている。)
RODEは高音を押し出し気味なのもスペック上の低ノイズの一因かと勝手に思っていたが、SAMSONC02のシャリシャリした高音ノイズの耳障りさを知ると、やはりRODEの超低ノイズ技術は優秀なのだなと思っている今日このごろです。
低ノイズのスモールダイヤフラムは定番のSchoeps,Neumannの他にSE8もスペック上はなかなか健闘。NT5よりよい。一方RODEも低価格のボーカル用PA用のハンドヘルドは結構ノイズが大きめ。
大変参考になる動画。
決して高音質ではないYoutube動画であってもノイズの大小、音質の違いが明瞭にわかる。
注意点:業務用録音マイクはどんどん身近になってきていますが、48Vが通っていて死亡事故もありますので気をつけましょう。その点、乾電池駆動のマイクにもやはり出番があります。
testing.holmerup.bizがとても参考になる。
声よりギターに明瞭に個性が出る。
ラージダイアフラムのほうが音に力がある。
Blue Baby Bottle が一番押しがある感じ。
AIF+ヘッドホンで聴くのも良いが、スマホのスピーカーでの印象を確かめるといい。どんなに「正しい」環境で作られた良い録音でも、末端消費者のスマホを通した印象が悪ければほとんどの場合それで終わり。
以上、すべては個人の主観です。
2018-10-10 追記:2018-11-07